
山忠本家酒造の創業は江戸時代中期。酒小売り商が年間契約を結んでいた明治時代、酒の価格が急騰した際に、当初小売商と結んでいた契約を守り、採算を度外視して安値のままの酒を提供し続けた事で、小売り商より「義侠」という名を贈られたという逸話が残っています。現在も蔵元から、面接を行った顔の見える酒販店のみの直売によって品質の安定と供給を保っています。
山忠本家酒造の山田社長は、昭和50年代に義侠が次々と金賞を受賞していた時代に、金賞狙いの酒造りに見切りをつけ「飲んで旨い酒を造る」といって徹底した酒造りを行うため、石高を大幅に落としてまで全量純米仕込みにこだわり、自らが目指す究極の酒造りで素晴らしいお酒を造り続けています。
義侠では、「酒造りは米作りから」の信念を実践し、現在最高の酒造好適米である山田錦の中でも、良質の山田錦が栽培される地域として最高ランクの特A地区に指定される兵庫県東条町産の山田錦を用いています。それも、ただ買い付けるというものでなく、理想的な山田錦を栽培する為、山田社長自らも田んぼに入り、産地農家とどう作るかを話し合って品質向上に努めた結果、素晴らしい山田錦が収穫されています。
農家との交流を深め、こうした米作りから酒造りを行う蔵元は全国でも非常に稀で、最高の酒米「山田錦」や世界に誇れる日本酒の酒造りを継承し発展させていこうとする山田社長の酒造りに対する意欲と姿勢は、多くの人に感銘を与え、全国の名だたる蔵元からも一目置かれる存在にあります。
その特上米の「山田錦」を用いて、究極の酒を求めた酒造りから生まれる濃醇でダイナミックな力強い味わいを醸し出す義侠の純米酒は、やはり人気が高く、全国の地酒ファンの間で熱狂的な支持を受け、マニア的なファンの多い銘柄です。
米の良さ、造りの良さが、そのまま反映される義侠の酒は、酒が本来持っている色を残し、香りを求めず、凝縮された米の旨味と、しっかりした酸が見事に調和した、厚みのある奥深い味わいが特徴。義侠の個性ともいえる圧倒的な風格さえ漂わせています。また、義侠の酒は熟成によりその本領を発揮するところがあります。あの奥行きのある深い味わいへと熟成したお酒に、素晴らしさを憶えた方は多いと思います。香味の変化を楽しみながら飲むために、何本かはストックして、常にそばに置きたい銘酒です
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